あたしの愛、幾らで買いますか?
しばらくして、

彼は自分の食器をキッチンに片付け

プライベートルームに入り

服を着替える。


白いカットソーに黒いジャケット

ボトムは細身のクラッシュデニム、

首には初めて会った時にしていた

ロザリオをしていた。

左手首にはシルバーの腕時計が

キラリと光る。


彼は、少し大きめのサングラスをして

車のキーをチャリンと鳴らし


「じゃ、いってきます」


と言ってリビングを後にする。

あたしは彼の後ろを追って

玄関まで見送りをする。


「いってらっしゃい」

「もし、迎えが必要だったら
 メールして?」

「うん。わかった。
 頑張ってね」

「おう」


彼はそう言って

あたしの頬にキスをして

玄関から去っていった。



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