あたしの愛、幾らで買いますか?
3章 黒い瞳・茶色い瞳
「ただいま」


そんな事を玄関口で言ったって、

家には誰にも居ない。

小さいアパートに

母と父とあたしが住んでる。


あたしは、部屋に戻ってベッドに座る。

携帯電話を出して朔羅のメモリを

見つめる。


深い溜め息しか出ない。

どうしてだろう。

こんな事初めてだった。


いつもなら適当に帰ってきて、

制服を脱ぎ捨てて、

Tシャツにスエット…

そんな出で立ちで、横になる。


今日感じた温もりに安心して眠りに付く。

そんな時はご飯なんて要らなかった。




< 40 / 484 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop