あたしの愛、幾らで買いますか?
しばらく、電車に揺られて

家路につく。

キラキラとしたネオンが

電車の窓から見えると少しだけホッとした。


「帰って来た」


そんな感じだった。

あたしは改札機に切符を飲み込ませた。

実家に戻る時にはなかった荷物が

とても重たい。

1枚だけだと重さを感じない紙切れは

幾重の束になると、

とても重いものだった。

少しだけ愛に似ていると思った。


駅からマンションは歩いて5分くらい。

寒かったけど、

やっぱりタクシーには乗りたくなかった。


カツカツとヒールを鳴らし、

あたしは彼と暮らす‘お城’へ向かう。

早く

早く

早く

彼の帰りを待ちたい。


メールの返事はないけれど

もしかしたら、

先に帰ってるのかもしれない。

そう思っていたら、

重たい荷物なんかへっちゃらで

ピンヒールのパンプスで走っていた。


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