あたしの愛、幾らで買いますか?
ベッドから起き上がり、

誰も居ないリビングへ行く。

あたしは、

いつまでここに居ればいいのだろう?

きっと出て行かなければいけない。

だけど、

彼がフラっと帰ってきた時に

誰も居なかったら、寂しがると思う。

実は寂しがり屋な彼だから…。


「…さくら?」


あたし以外誰も居ない事知ってるのに

思わず名前を呟く。

毎日毎日呼び続ければ、

冷え切ったあたしの右側が

また熱を帯びると信じて。


―…あゆ


朔羅に呼ばれた気がした。


「朔羅?」


あたしは狂ったように


彼の寝室

クローゼット

バスルーム

玄関

お手洗い


扉という扉を全て開けて

彼の名前を呼び続けた。


「朔羅?居るんでしょう?
 さくら!!」


あたしの声は虚しく響くだけだった。




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