あたしの愛、幾らで買いますか?
冷蔵庫を開け、材料の有無を確認する。

ある程度の野菜はあったけれど、

人参と肝心なシチューのルーがなかった。

あたしは、キッチンから

‘彼’に声をかける。


「ねぇー、
 ちょっと買い物に行ってくるね」


彼からの返答はなかったけれど

ダイニングテーブルで

きっと静かに笑っているのだろう。


「何かあったら携帯にかけてね。
 いってきます」


少しだけ大きな声で叫ぶ。

今日は寒いから

ムートンのブーツに

細身のデニムをインして

小走りで24時間営業のマーケットへと

急いだ。


携帯を取り出して、時間を確認する。

時間は23時。

だけど、

あたしと‘彼’が住む街は

眠らないのだ。




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