あたしの愛、幾らで買いますか?
17章 君ノ名前
あたしは、心ここにあらずな状態で

理由も無く歩いていた。

化粧もせず、防寒もせず。

このまま死んでしまったって

構わなかった。

小さな子供のように

小銭と手紙を握り締めていた。


意味もなく電車に乗り

意味もなく辿り着いた。


実家のある町へ。

あたしには帰る場所なんかない。

なのに、

足が勝手に動いていた。

所詮、あたしも子供だった。

意識もせずに此処に戻ってくるなんて

甘えている証拠だ。


だけど、

家には帰れない。


どうしたらいいの?





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