あたしの愛、幾らで買いますか?
そして、

あたしはフラフラと大通りを歩いた。

車が沢山行き交っている。

ただ、あてもなくフラフラと歩く。

別に疲労感だとか

空腹感だとか

そんなものはなかった。


「…安藤?」


後ろから、呼ばれる

あたしの苗字。

振り返ると、そこには

笹井が居た。


「……。」

「お前、何してんの?
 こんな所で…」

「……。」


あたしの様子が

普通じゃなかったらしくて、

笹井は躊躇する事無く

あたしの両肩を力強く掴んだ。


「お前…
 あいつと…
 一緒に暮らしてるんじゃねぇの?
 幸せなんじゃねぇの?」


少しだけ震える笹井の声。

あたしは、その問い掛けに頷いた。

だけど、

その行為は笹井を

苛立たせているようだった。


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