あたしの愛、幾らで買いますか?
「嘘つけよ!」


思わず大きな声になる笹井。

自分でも予想外の大きさだったのだろう。

あたしの肩を掴んでいた手を離し、


「ごめん」


と小さな声で謝っていた。


「なぁ、幸せなら
 なんで、うつろな目してるんだよ。
 なんで、そんなボロボロなんだよ。
 安藤!」

「知らないよ…」

「自分の事だぞ?
 知らないわけないだろ…」

「…そんな事言われたって
 わかんないもんは
 わかんないよ!!」


笹井の問い掛けが痛かった。

現実を突きつけられている様だった。

あたしには

何もわからなかった。

朔羅が居なくなった訳が。


あたしは

砂で出来たお城が呆気なく崩れるように

泣いた。

声を大きく上げて

泣いた。


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