あたしの愛、幾らで買いますか?
これが現実なの?

‘今’が現実なの?

朔羅が居なくて

目の前に笹井が居る。


笹井はひたすら泣くあたしを

見下げるだけ。

バカだって思ってるの?

朔羅に捨てられたあたしを見て

ざまぁみろって思ってるの?


笹井はあたしと同じ所まで

視線を下げて言った。


「あいつと…
 なんかあったか?」


小さな子供をなだめる様に

笹井はあたしの涙を指で拭い

優しく微笑んだ。


あたしは、現実を受け入れるように

初めて

言葉にした。



「朔羅が居なくなった」





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