あたしの愛、幾らで買いますか?
あたし達は、言葉少なめで

ひたすら歩いていた。

こうやって笹井と歩いていると

朔羅と過ごした数ヶ月が

夢のように感じる。

朔羅と笹井は対照的な二人だった。


夢みたいに儚げな朔羅。

例えるなら月。

力強い眼差しで

あたしを現実へと戻してくれた笹井。

自分の力で輝く太陽のような人だ。


暖かい笹井の掌が

凄く優しくて…

だけど、

あたしは、この優しさに

甘えたらいけない。

あたしは自分で決めなくちゃ。

…自分の道を。


でも、

帰る場所なんか無いんだった。





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