あたしの愛、幾らで買いますか?
「安藤は?
 進路どうすんの?」

「え?」

「え?じゃねーよ」

「…笹井知らないの?」


この様子からすると

笹井は知らないようだった。

あたしが、学校を辞めた事を。


「あたし、学校辞めたんだよ」


その言葉に固まる笹井。

少しの沈黙…。

時計が一秒一秒刻む音が大きく聞こえる。


そして、

急にスクッと立ち上がる彼。

あたしはきょとんとして

彼を目で追う。


「お前、ちょっと待っとけよ。
 飲み物持って来るわ。
 話は、それからだ」


ばたんと扉を閉めて、

ダダダと階段を

駆け下りる音が聞こえた。

遠くの方で冷蔵庫を

閉める音が聞こえた。


―…バタンっ


笹井が勢い任せに閉めたに違いない。

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