あたしの愛、幾らで買いますか?
―バンっ


勢い良く部屋の扉を開ける笹井。

オレンジジュースのペットボトルを抱え、

左手にはコップを二つ持っていた。


コポコポと音を立ててコップに入っていく

オレンジジュース。

それをあたしが一口飲んでいる間に

笹井は全て飲み干していた。


「お前、マジで言ってんの?
 学校辞めたって」


あたしはただ、コクリと一回頷いた。


「どうすんの?」

「どうしようね…」

「他人事みたいなんだな」


笹井の最後の一言が

ムカついた。

他人事なんかじゃない。

辞めた時は、

朔羅の隣に居ると決めていた。

だけど、

彼が居なくなった今、

どうしたらいいのか

あたし自身わからないのだ。

どの道が正しいかなんて

あたしにはわからなかった。


この怒りを、

どうしたらいいか解らないあたしは、

ただ涙を目に溜める事しか出来なかった。


あたしの

その姿を見て

笹井は


「ごめん」


と、申し訳なさそうに言うだけだった。

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