あたしの愛、幾らで買いますか?
笹井の言葉の魔法にかかったみたいだ。

『忘れなくたっていい』

その言葉に、あたしは何故かホッとした。

目に見える絶対的なものしか信じれない

あたし。

だけど、

思い出は絶対だ。

朔羅を愛した。

これは天と地がひっくり返っても

変わらない事実だ。


あたしを落ち着かせるように

指であたしの髪を弄ぶ笹井。

あたしは、笹井の肩に額を乗せた。


「ねぇ…笹井」

「ん?」

「あのさぁ…?
 ずっと聞きたかったんだけど」

「何だよ」


あたしは彼の肩から額を外し、

真っ直ぐな彼の瞳をじっと見ながら

こう尋ねた。


「笹井って、あたしの事
 好きなの?」


彼は噴出すように笑って、

こう答えた。



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