あたしの愛、幾らで買いますか?
最終章 無償の愛
あれから、季節は巡り

冬になった。

あたしは朔羅と住んでいた家を出て

実家へ戻ってきた。

母は暖かく迎え入れてくれた。

けれど、父はあまり良い顔をしなかった。


学校を辞めたあたしは

毎日毎日バイトに明け暮れた。

バイトがない日は、

エリと会ったり、

笹井と会ったりしていた。


笹井とあたし、進展は何もない。

ただ、

笹井は毎日一通手紙をくれる。

携帯のメールじゃない彼直筆の手紙。

決して綺麗ではない文字の羅列が

少しばかり愛しく感じる。


以前と違う事は

笹井と二人で会っても

あたしに触れてこない事だった。

それが、

なんだかくすぐったくて

嬉しかった。





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