あたしの愛、幾らで買いますか?
最初の頃は断っていた。

笹井の受験の事が心配で。

彼の受けようとしている大学は、

誰もが聞いたことある大学だったから。

容易く入れるような学校では

なかったから。

推薦枠が取れなかった彼は、

一般受験。

だから、

今、この時期が一番大事なときなのだ。

だけど、

彼曰く、あたしを迎えに来るのは

息抜きらしい。


「お前の顔見れたら、
 家帰ってからでも勉強、
 はかどるし。
 安藤に会えて、勉強もゴリゴリ進む。
 一石二鳥じゃねぇ?」


自転車をこぎながら

照れ臭そうに笑う笹井。

あたしは、その後ろで

顔が赤くなるを感じながら

わざと大きな声で笑って見せた。

あたしなりの照れ隠しだ。



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