あたしの愛、幾らで買いますか?
笹井は不穏な空気を感じ取ったらしく、

ドアの近くに居た女子に


「どうしたん?」


と尋ねていた。

その子が言いにくそうに


「百合子が…」


その言葉が百合子の耳に

届いたのだろう。

百合子がキッと、その子を睨む。

彼女の一言で、

あたしと百合子がモメた事がわかった。

無言で教室を出て行く百合子。

百合子が出て行くのを笹井が

確認してから、あたしの所へ来た。


「大丈夫か?」

「放っておいてよ」


この状況で笹井があたしを優しくしたら、

百合子の仲間が百合子に

チクるに決まってる。

でも、

あたしは平然として

席に着いたままだった。


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