あたしの愛、幾らで買いますか?
あたしは、こんな優しいメールを

貰った事がない。

だから、どんな返事を送ればいいのか

わからなかった。

だけど、無視できなくて


【ありがとう】


それだけ返信した。

送信し終わって、

ふと、笹井を見た。

呑気に居眠りなんてしている。

サラサラの髪の毛が、

窓から入るそよ風に揺れている。

瞳と同じ茶色い髪が静かに揺らぐ。


この教室でも、何人が笹井の寝顔を


『独り占めしたい』


と願っているのだろう。

あたしは、その輪には加わらなくていい。

きっと、あたしと笹井の体の繋がりは

笹井に彼女が出来たら終わりだろう。

笹井の女に嫉妬されて、

相手があたしだとバレたら…

きっと刺されるかもしれない。

そんなの御免だ。




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