あたしの愛、幾らで買いますか?
「おっせーよ!!」


小声より少し大きな声で言う笹井。

まさか、

本当に来るとは思わなかった。


「ちょ…待ってて」


あたしは、そう言って

窓とカーテンを閉め、

笹井の所へと行く。


Tシャツにショートパンツ、

足元にはピンクのビーチサンダル。


「ちょっと!!」

「うるせーよ。
 ご近所様に迷惑だろう?」

「笹井が来る方が迷惑だよ」


ハッとした。

言い過ぎたかもしれない。


「…ごめん」


シュンとした笹井が言葉を零す。

視線はアスファルトの道路。


「俺、帰るわ」


そう言って自転車に跨る笹井。





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