あたしの愛、幾らで買いますか?
少しずつ遠くなる背中。


「待って!!」


気が付いたら、走ってた。

あたしは笹井の背中を

追いかけていた。


「笹井、待って」


―キキー


笹井のブレーキがなる。

やっと、あたしは笹井の背中に

追いついた。


息が上がっているあたしを見て、

フッと笑う笹井がいた。


「はぁ…はぁ…何…笑って…んのよ…」

「いや?
 安藤が追いかけてくるとは
 思わなかったから」

「いけない?」

「いけなくない」


笹井があたしの手を取った。

何でだろう。

あたしは笹井の視線を

振り切ることが出来なかった。




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