あたしの愛、幾らで買いますか?
どのくらいの時間
抱き合ったのだろう。
たまに吹くそよ風が気持ちがいい。
抱き締められていたけど、
あたしは腕を彼の背中に
回せなかった。
完全に固まっていた。
笹井の手が緩んで、
また視線を絡める。
少し高いところから視線を
落とす彼が妙に色っぽかった。
知らない人みたいだった。
これは月明かりの所為かな…?
「送っていく」
そういう笹井は教室で見たことのない
表情で言う。
「いいよ。
すぐそこだし」
あたしは一人で帰ろうと思ってた。
今日は月明かりが眩しい。
「駄目。
何かあったら困るだろう?」
「何もないよ…
狼がついてくるほうが問題」
「狼って俺?」
「他に誰がいるのよ」
笑いながら、そんな話をしてた。
笹井は自転車を手で押しながら、
あたしの歩調に合わせてくれていた。
抱き合ったのだろう。
たまに吹くそよ風が気持ちがいい。
抱き締められていたけど、
あたしは腕を彼の背中に
回せなかった。
完全に固まっていた。
笹井の手が緩んで、
また視線を絡める。
少し高いところから視線を
落とす彼が妙に色っぽかった。
知らない人みたいだった。
これは月明かりの所為かな…?
「送っていく」
そういう笹井は教室で見たことのない
表情で言う。
「いいよ。
すぐそこだし」
あたしは一人で帰ろうと思ってた。
今日は月明かりが眩しい。
「駄目。
何かあったら困るだろう?」
「何もないよ…
狼がついてくるほうが問題」
「狼って俺?」
「他に誰がいるのよ」
笑いながら、そんな話をしてた。
笹井は自転車を手で押しながら、
あたしの歩調に合わせてくれていた。