あたしの愛、幾らで買いますか?
笹井の背中を見送った後、

あたしはゴロリとベッドへ突っ伏す。

意外とガーリーなあたしの部屋。

これは完全に母親の趣味。

ベッドの脇にあるテディーベアに

妙な違和感を覚えたのは、

いつだっけ。


「ママね、
 娘が生まれたら
 思い切り女の子ぽく育てるの」


そんな事を瞳輝かせて話していた。

あたしが小学生の頃。

それまでは、

あたしの服もフリフリで

デニムのパンツを履く時のトップスは、

チュニックみたいな女子っぽさが

伺えるような洋服を選んでいた。


≪親の言う事には逆らわない≫


これが我が家の掟だった。





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