あたしの愛、幾らで買いますか?
息と心を弾ませて、

あたしは走る。

校門から少し離れたところに

あたしが待っていた人影が見えた。


「あゆ!」


あたしが待ち望んでいた声が聞こえた。

あたしは、また走って駆け寄る。

朔羅の黒い瞳に、

あたしの姿が映る。

何週間ぶりだろう?


「朔羅…」


あたしが

‘久し振り’

と言おうとしたら、

朔羅がふわりと優しく抱き締めた。

初めて会った時と変わらない、

甘い甘い香水の匂い。

その匂いにあたしは

意識を失いそうになった。




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