あたしの愛、幾らで買いますか?
ただ、

知りたかった。

朔羅が何歳で、

どんな仕事をしていて…

それだけで良かった。

隣に居る朔羅が

『幻じゃない』

という事だけを確かめたかった。


朔羅は風をよけて煙草に火を点けて

煙を吸い込み、吐き出す。


「あたしは…」


あたしは、

普段なら自分の事なんて言わない。

【その場限り】

それが合言葉だった。

だけど、

今のあたしは違った。

何故かわからないけど、

朔羅の事知りたかったし

朔羅にあたしの事を

知って貰いたかった。




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