あたしの愛、幾らで買いますか?
「あたしは…平成3年5月6日生まれ。
 高校2年生。東京都出身。
 学校は嫌い。
 初めて彼氏が出来たのは…」


あたしを知って貰う為に、

あたしは自分なりの自己紹介をしてみた。

息継ぎをしているところで、

朔羅が遮るように言った。


「あゆ…
 無理して自分を曝け出さなくていいよ」


そう言った朔羅の目は

とても寂しそうだった。


「…無理なんかしてない」


あたしは朔羅の言葉で、

少しわかった事がある。


「朔羅の事、知ろうとするのは
 いけない事なの?」


潮風の所為なのか、

朔羅の煙草の煙の所為なのか、

あたしの目には涙が溜まる。




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