あたしの愛、幾らで買いますか?
「一人にしないよ…
 あたしは朔羅を一人なんか…」


あたしは、

さっきよりも強く朔羅の背中を抱き締めた。

朔羅と初めて体を重ねた時に

言われた言葉がリフレインする。


『あゆの目が‘寂しい’って言ってる』


その言葉は、

朔羅、貴方の心の言葉でもあったの?


あたし達、きっと同じ温度なのかな。

だから、

あたしは貴方に惹かれるのかな?


「朔羅……朔羅…」


あたしは確かめるように

朔羅の名前を呟く。

朔羅が消えてしまわないように。

明日になったら、

彼が幻になってしまわないように。

あたしは、

少し体を離して、彼の目を見つめる。


「ねぇ、
 あたしは、朔羅を
 一人なんかにしないけど…
 朔羅も、あたしを
 一人にしないでくれる?」




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