河童と恋をした<短>
薄を掻き分けて中に進むと、小川があった。
そして其処には……
『う…うぅ』
呻き声を上げる、何か深緑の物体。
「…!」
怖い。
しかし、好奇心で、近づく。
『うぅ……』
生きて、いるようだ。
結構な大きさ。
小学生低学年の男子くらいだろうか。
蹲っているので正確には分からないが。
「あの……」
人間…だよね?
深緑は、ペイント…だよね?
それにしては、やけに生々しい。
「大丈夫です………か?」
『……み、ず……』
「ひぃ……!」
な、な、何、何、コレ、何!?!?
水、と言って顔を上げたソレは、黄色く尖った口をしていて、目は釣り上がり気味で、頭には、お皿………
「かっ……ぱ…?」
そんな筈……!
そんなの、お話の中だけの存在で!
でも、まさしく、目の前にいるのは、河童で。
水を求めている。
苦しそう……。
小川に行く前に力尽きたのか、力なく伸ばされた手は後もう少しで小川の水に触れられる所まで来ている。
助け……なきゃ。
本能的にそう思った。