河童と恋をした<短>
小川の水は冷たかった。
しかしそんな事お構い無しに、両手をお椀のように丸め、お皿辺りに水を運ぶ。
すると―――
『…はぁはぁはぁ、』
ゆっくり起き上がって、苦しそうに私を見た。
「…………」
ど、どうしよう。
怖くて、動けない。
起き上がった姿は、水掻きのついた手足に、所々黒い斑点がある深緑の水分を取り戻した肌………
れっきとした河童だ。
『礼を言う』
「え…?いえ、とんでもない……」
害は、なさそう。
普通に会話してしまっている。
「あの…河童さん……ですよね?」
『驚かないのか?』
否定しない、と言うことは、やはり河童なんだ。
河童と出会ってしまった。
「これでもかなり驚いてるんですが」
感情表現が乏しいのは自分でも分かっていたけど、それを感じるのは河童も共通なのか。
五感が優れていそうなのに、関係ないのか……。
『お前は命の恩人だ。何か望みはあるか?』
河童の恩返しだ……!!
「じゃあっ、じゃあ……」
何してもらおう、何してもらおう!!!
「………私とお友達になって下さい!!」
『は………?』
だって、河童とお友達だなんて、素敵じゃない?