河童と恋をした<短>


「河童ー!胡瓜食べるー?」

『俺は胡瓜は好物ではないと、何度言えば分かる…!』


河童の恩返しである、友達になる、という私の望みは叶えられ、この所毎日河童と遊んでいる。


「えー…、折角収穫したのに…」

『…く、食わないとは言っていないだろう!』

乱暴に私の手から胡瓜を奪い取り、まるかじりする河童。


「ふふ」

『気色悪い』

「酷!!」


河童といると、楽しい。
自然と笑うになった。

独り言も言わなくなった。


「河童ぁあ…」

『次は何だ…』

「転けた…。いーたーいー!」


泣くようにも、なった。


『世話のやける…。おぶってやるから立ち上がれ』

「………」


頬を染めるようにもなった。


「ヌメヌメしてて気持ちい」

『気持ち悪い、と言うとこじゃないのか?』

「ううん、河童だから良い」

『そ、…そうか』

「照れてるー!」

『……照れてない!!』








薄を抜けた小川には、河童がいつもいるのです。




『いい加減、飽きないのか?今日は来ないかと……』

「待ってたんだ!」

『誰がお前なんかを……!』

「飽きるわけないじゃーん」



見た目こそ不気味な彼ですが、心は誠実で、暖かく、ただ不器用なだけなんです。




< 4 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop