河童と恋をした<短>
「河童ー!胡瓜食べるー?」
『俺は胡瓜は好物ではないと、何度言えば分かる…!』
河童の恩返しである、友達になる、という私の望みは叶えられ、この所毎日河童と遊んでいる。
「えー…、折角収穫したのに…」
『…く、食わないとは言っていないだろう!』
乱暴に私の手から胡瓜を奪い取り、まるかじりする河童。
「ふふ」
『気色悪い』
「酷!!」
河童といると、楽しい。
自然と笑うになった。
独り言も言わなくなった。
「河童ぁあ…」
『次は何だ…』
「転けた…。いーたーいー!」
泣くようにも、なった。
『世話のやける…。おぶってやるから立ち上がれ』
「………」
頬を染めるようにもなった。
「ヌメヌメしてて気持ちい」
『気持ち悪い、と言うとこじゃないのか?』
「ううん、河童だから良い」
『そ、…そうか』
「照れてるー!」
『……照れてない!!』
薄を抜けた小川には、河童がいつもいるのです。
『いい加減、飽きないのか?今日は来ないかと……』
「待ってたんだ!」
『誰がお前なんかを……!』
「飽きるわけないじゃーん」
見た目こそ不気味な彼ですが、心は誠実で、暖かく、ただ不器用なだけなんです。