桜に導かれし魂
「覚えてるよ、かえ」
「…………え?」
「俺が楓をもらってやる」
「右京、おぼえて
楓の言葉をさえぎって言葉をつなぐ。
「思い出したよ、かえ」
「ズッッ……ふふ」
笑いをこぼした楓は鼻をすすりながら
体を離し静かに俺をみた。
「嬉しいよ、右京が覚えててくれて。
でも楓は…………」
後に続く言葉はわかるよ。
俺の側にはいられないって
いうつもりなんだろう?
でももういいんだ。
「楓が生きることを諦めても
俺が楓と生きることを諦めない。
俺は楓と生きたい。
かえが………………好きだよ」
何度も俺の名前を呼びながら
大きな瞳からたくさんの滴を落とす。
「きょう……ちゃ」
ぽろぽろ涙をこぼす楓を
俺は力いっぱい抱きしめた。
俺が守るから。
楓のこと俺が守るから。