桜に導かれし魂
「入学式が終わった後俺が
空見てたらいきなり佐伯が
俺の前に走ってきて
「私の友達と………
右京と友達になってほしいの!」
っていってきたんだ。

他にも人はたくさんいたのに
なんで俺に頼んできたのか
不思議に思ってきいたんだ、
どうして俺に頼んだの?
って。そしたら佐伯、即答だったよ。
「あなたが右京と同じ瞳をしてるからよ」
だって。よく意味はわからなかったけど
彼女の目がとても必死だったから
その申し出を受けたんだ。

佐伯は右京が居眠りしている間中
俺に君の事を話してくれたよ。
そしたらなんだか俺のほうが
話してみたくなっちゃってさ
何回も話しかけようと思ったんだけど
君はなにか思い詰めた顔をしてたから
話しかけられなかった。
だから佐伯に頼んだんだ。

君が仲をとりもってくれないか?
って。
そしたらもう子どもみたいに喜んでさ、
今日に至ったてわけ」
玲夜の話を聞いて目じりが熱くなった。
どうしようもなく泣きたくなった。
闘病中の楓が、癌に犯された楓が、
自分のことみたいに
俺を心配してくれたことが嬉しくて、

ただ
「佐伯の病気のことはとても残念だよ。
でも俺は右京と友達になれて、
君に会えてすごく嬉しい」

ただ今日知り合ったばかりの俺を
友達だと言ってくれる玲夜の言葉が
どうしようもなく嬉しくて、

俺は今日も泣いてしまった。








次の日から玲夜と俺は毎日いっしょに過ごした。
いや、玲夜が俺の側にいてくれたって
言うほうが正しいな。
たくさん話すわけではないけど
学校がたのしかった。
玲夜がいることで他の人たちとの
交流も少しづつ増えていった。
そして学校が終わるとそのまま
病院へ向かう。
これが俺たちの日課になっていた。
それから玲夜も楓を佐伯ではなく
“楓”
と呼ぶようになりいつのまにか
玲夜までもが幼馴染になったみたいで
俺は嬉しかった。










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