桜に導かれし魂
「おにーちゃん!帰るのおっそ……??!!」
「ただいま。こまち」
「……誰、ですか?」
「おにいちゃんのお友達です♪」
「「ただいま~!!」」
いまだといわんばかりのタイミングで俺と楓が飛び出すと「びっくりしたじゃない!」といってこまちは壁にもたれかかっていた。
「もう!ってかえ?!かえ~!久しぶり!大丈夫なの?」
「こまちー!元気だよ~!なんかやっぱりきょうちゃんだけじゃ物足りなくって…(笑)」
「おいおい」
こんな俺のぼやきは序の口で感動の再開(?)を果たしているふたりの邪魔をしたのは俺じゃないぞ、玲夜だ。
「こまち~、俺長崎 玲夜っていうんだ。よろしくね」
っていいながら小さいこまちを自分の腕の中にすっぽりと収めた。
「おい!れい」
「ちょっと玲ちゃん!楓のこまちとらないでよ~」
俺の言葉をさえぎってはいってきたのはもちろん楓。主役の俺をほっぽってこまちの争奪戦が始まる。
おまえらな~
「コホン!お前らなにか大事なこと忘れてないかい?」
「右京~、楓ちゃんきてるんだったら早く来なさい!」
母さんに呼ばれた俺たちは言い争いをやめリビングへと向かった。
「あら、そっちの男の子は?」
「はじめまして、お母様。右京君と同じクラスの長崎 玲夜といいます」
こ、こいつ…とんだプレイボーイじゃねぇか。
「あらあら!右京ったらかっこいいお友達連れてきたのね~。楓ちゃんとられないようにしなさいよ」
そんなシャレにならないようなこと言うんじゃないよ、母さん。
みんなで楽しく食事も済ませ酔いのまわった両親と玲夜は他愛も無い話でもりあがっている。はぁ~。くっそー玲夜め、ほんとにお前ってやつは猫かぶりヤロウだな。こまちはこまちでずーっと玲夜のことみたまんまだし。今日は俺の誕生日なのに…………