桜に導かれし魂

夏の訪れ

次の日俺が目を覚ますともう楓は病院に戻っていた。母さんになんでおこしてくれなかったんだよときくと起こさないであげてくださいっていわれたらしい。

さすがの楓も会いにくかったのかもしれない。
俺の横にはこまちと爆睡の玲夜がいる。ほっておけば起きるだろうと思って俺が立ち上がるとこまちもいっしょに起きてきた。
「ん~、おにーちゃんおはよ~」
「はよ」
「玲夜くんまだ寝てるんだ~、かわいー♪」
なんていいながら玲夜のほっぺたをつんつんしている。
「こまち~もう玲夜起こしてやってくれ。学校遅れる」
「わかった~。玲夜くーん!起きてー」
さて、俺も着替えるか。

「きゃあっ!」
なんだなんだ?!!
「こまち?!」
俺が客間に戻るとがっつりこまちに抱きついた玲夜と玲夜に捕まったこまちがいた。
「ん~…もうちょっと~」
「ちょ!玲夜!!どさくさに紛れてなにやってんだ!」
寝言を呟きながらこまちを押し倒している玲夜を引き離す。
「びっくりした~。おにーちゃんありがと」
ったく油断も隙もねぇヤロウだな。しかも全然起きんし。
「おい玲夜~、そろそろ起きろよ~」
ベシベシと頬を叩き?殴り?無理矢理玲夜を起こした。
「……って~。なにするんだよ右京!」
「お前がいつまでも寝言言って起きないからだ」
おまけにこまち襲ってるし。
「もうちょっと起こし方あるだろ~」

ぼやく玲夜をさしおいて母さんが作ってくれた朝食を食べ始める。
ちょっと目玉焼き焦げてるし。
少しの不満を抱えながら口を動かしていると着替えた玲夜がリビングにやってきてパンをくわえて呟いた。
「なぁ右京、時間やばいっぽい……(笑)」
時計を見てみるといつも家をでる時間から5分ほど過ぎていた。普通のやつが5分家を出るの遅れたからってどうこうなることはないんだけど俺にとっての5分出る時間が遅れるってことは実質上の遅刻にあたいする。
「おい……玲夜急ぐぞ!」
「はいはーい」
「こまち、チャリ借りるな!」
こまちの返答もきかずに玲夜とふたり自転車をこぐ。もちろん激チャだ。
まにあうか?かぎりなく微妙な時間だな………

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