桜に導かれし魂
君が嫌いなんじゃない、君が憎いんじゃない。だけどいまは正直楓と同じ顔をしてる君を見るのがつらい。楓を傷つけた俺を、楓を救えなかった俺を、どうか君も許さないで。嫌ってくれればいい。だからわざときついことを言ったんだ。そうすれば俺から離れてくれると思ったから。そう思ったのに、君は違った。
「だったら話してよ!楓ちゃんのことも……貴方のことも!!」
その瞬間初めて君との出会いが運命なんじゃないかと思ったんだ。
どこまでも強気な言葉、態度。胸の奥まで響く声。凛としたその姿は楓そのものだった。
「……とりあえず、名前教えてくれない?きょうちゃんとは呼ばれたくないんでしょう?」
こんなことを言われたら嫌でも名前を名乗らざるをえない。
「……俺は
そのとき背中から俺の名前を呼ばれた。
「あら…右京?」
鈴のような声に振り返る。声の主は朱里だった。
突然の登場に驚きもせず楓にそっくりな君が問いかけた。
「貴女が楓ちゃん?」
「いいえ、違うわ。私は
「朱里、いいから……行こう」
言葉を遮って朱里の手を引いて歩き出す。
本当は楓じゃないとわかったときからすぐにでも君から逃げたかった。だけどそれと同時に俺の中のなにかが君といることを願ってた。だから朱里がここに来てくれた事に感謝している。彼女から離れる理由ができたから。
ほっとしたような、名残惜しいような、はっきりしない感情に後ろ髪を引かれながらもその場を立ち去ろうとした俺の背中に君は声をかけた。
「右京!また春に会おうね!」
こうして俺は楓と別れたその日に楓そっくりの君に出会った。
「だったら話してよ!楓ちゃんのことも……貴方のことも!!」
その瞬間初めて君との出会いが運命なんじゃないかと思ったんだ。
どこまでも強気な言葉、態度。胸の奥まで響く声。凛としたその姿は楓そのものだった。
「……とりあえず、名前教えてくれない?きょうちゃんとは呼ばれたくないんでしょう?」
こんなことを言われたら嫌でも名前を名乗らざるをえない。
「……俺は
そのとき背中から俺の名前を呼ばれた。
「あら…右京?」
鈴のような声に振り返る。声の主は朱里だった。
突然の登場に驚きもせず楓にそっくりな君が問いかけた。
「貴女が楓ちゃん?」
「いいえ、違うわ。私は
「朱里、いいから……行こう」
言葉を遮って朱里の手を引いて歩き出す。
本当は楓じゃないとわかったときからすぐにでも君から逃げたかった。だけどそれと同時に俺の中のなにかが君といることを願ってた。だから朱里がここに来てくれた事に感謝している。彼女から離れる理由ができたから。
ほっとしたような、名残惜しいような、はっきりしない感情に後ろ髪を引かれながらもその場を立ち去ろうとした俺の背中に君は声をかけた。
「右京!また春に会おうね!」
こうして俺は楓と別れたその日に楓そっくりの君に出会った。