桜に導かれし魂




食事を済ませた俺たちはまだ肌寒い夜の道を静かに歩いていた。
「ねぇ、お母さんの言ってたことどう思う……?」
沈黙を破ったのはこまちだった。
「俺は、そのとおりだと思うな。そうであってほしいだけなのかもしれないけど。右京はどう思う?」
「俺はまだ頭がついていかない。もし母さんの言ってたとこが本当だったとして、楓の信念はなんだったんだ?湖夏が思う信念ってなんなんだ……?」
すこし考えたあと玲夜が口を開いた。
「楓が最後に望んだのは……お前が笑うことだ」
「お兄ちゃんが笑うこと…?」
俺が…………………………………………………………
「俺が、笑う……か」
「俺が思うに右京に関係のあることだと思うよ」
「……なんだっていうんだ………」
「生きてみればわかるさ………」
……………………………………………………………
「…ふっ。残酷だな」
「…でも……楓が桜の木の末裔なら私たちはいったいなんなんだろうね」
「それも……」
「「「生きてみればわかる、か」」」
そう言って俺たちは顔を見合わせて笑った。













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