桜に導かれし魂
動き始めた時間
次の日楓は何事も無かったかのように
いつも通り俺をまっていて
「あほ右京!おそいのよ、ばーか!」
昨日の様子が変だったから
心配してたのにこいつは…………
なんでこんなに顔しかかわいくないんだ。
でもまあこれくらいは想定内だったし
いつもと変わらない楓になんだかほっとして
俺もいつも通り
「おはよう、楓」
と楓の俺に対する悪口は完全にスルーして
会話を次に進める。
「おはよ!右京!」
そうすることで先ほどまで俺に対し
憎まれ口をたたいていた楓もにこにこと
あいさつをかえしてくる。そして
「急いでいそいで~」
と俺がまたがった自転車の二台を
押しながらタイミングを見てピョンっ
と後ろに飛び乗った。
「あ、あのね楓もう友達できたんだよ!」
でた、またデジャヴだ。
「そうか」
新学期のたびにこの話きくんだよな~。
「玲ちゃんってゆうの!
今日右京にも紹介してあげるね」
「ん~」
人見知りな俺に対して、
男女見境無く声をかけまくる楓は
すぐにたくさんの友達をつくる。
なかなか友達を作ろうとしない俺を
心配しているのか友達ができるたびに
そのこのを俺の元につれてきては
紹介しまくる。
でもやっぱり俺はいつも
自分の殻にこもりきってしまい
友達はほとんどできない。
そんな俺に気をつかってか休み時間に
なるといつも俺のもとにやってくる楓は
とても健気で申し訳ない気持ちになる。
だから今度こそちゃんと友達を作ろうと
楓の話を聞きながら
俺は秘かに決心していた。