桜に導かれし魂
ちいさな変化
行方を求めて
トントン
「お兄ちゃん、お客さん」
「……今は会いたくないって言ってくれ」
「でもあの」
「右京」
その声の主はいつも俺が目指していたあの人の声だった。
「ご、うさん…?」
「先輩に帰れはないだろう。入るぞ」
俺の返事を待たずに開かれる扉。
「右京、お前に聞きたいことがある」
正直今は誰とも話す気分になんてなれないが豪さんだからしかたない。
「……なんですか?」
「朱里が何処にいるかしらないか?」
「は、……なんで朱里なんすか?」
なぜいまさら豪さんの口から朱里の名前が出てくるんだ……
「朱里が…………いなくなった………」
?!
いなくなったってそんな
「なんで……」
「朱里のおばさんから電話がかかってきて学校から戻ってないって……。連絡も…とれないらしくて………どうしよう」
俺が聞きたいのはそんなことじゃない。なぜ豪さんがこんなに汗を流し必死な顔で朱里の居場所を探しているのかってことだ。
「……なんでですか、豪さん!朱里を切ったのは豪さんだったじゃないですか!!なのになんでいまさら」
「…右京には話さないといけないな……。でもそれは朱里をみつけたあとだ!いくぞ!」
豪さんが言い放ったその言葉の意味をよく理解してはいなかったが今は朱里を探すのが最優先だと思った。
「はい!こまち、ちょっとでてくる」
「う、うん。気をつけてね」