桜に導かれし魂
「俺は街のほう探すから右京は神社のほう頼む」
「わかりました」
目を合わせ力強く頷くと俺と豪さんは背を向けて走り出した。
神社までの道にも境内にも朱里の姿はみあたらなかった。
どこだ。どこにいるんだ朱里!
「朱里………」
朱里がいそうなところ…………。
…………………!!
学校の図書室!
なんでもっと早く気付かなかったんだろう。
学校へ向かうために最初の角を曲がったとき不意に名前を呼ばれて振り向いた。
「右京?どうしたの、こんな時間に」
「湖夏………いやちょっと…」
俺がどう説明しようかと口ごもっていると豪さんの声が聞こえた。
「右京!みつかったか?!って………さ、えき……?!!」
「いや、あの…豪さん……」
案の定びっくりしている豪さん。そしてこんな反応に慣れてしまったのか湖夏はふぅーっとため息をつき冷静な面持ちで口を開いた。
「私は高市湖夏です。佐伯って楓ちゃんのことよね?」
「あぁ。あの豪さん、詳しくはまたあとで。それより学校に行きましょう!」
「は?なんで学校?」
「朱里が図書室にいるんじゃないかと思って」
「図書室?まぁいい、行こう!」
俺と豪さんが走り出した時
「待って!私も行く!」
なぜだか湖夏までついて来た。