桜に導かれし魂
キーンコーンカーンコーン……

やばい!
チャイムなってんじゃねーか。

「右京が遅いから~!」
「ごめんって」
大きな桜を横目にみながら
楓の手を引き走り出す。

「急ぐぞ!」
「ちょっ、右京速いって!!
…………っだめ!」
走るスピードについてこれない
楓の呼びかけを無視して
俺ははしり続ける。



「う、きょ……う」
バタンッという音とともに
つないでいた右手が急に重たくなった。


「え?」
振り返ったときに
俺の目に飛び込んできたのは
廊下にしゃがみこんでいる楓の姿だった。


!!!!
「おい、楓!かえ!!」
「ゲホッッ!」
大きく咳き込んだ楓は
口元を手で押さえているが
指の間から赤いものが流れてきた。



……………………血?

「楓!大丈夫か?!」
「ケホ!ゴホッゴホ!」


一瞬“死” なんて言葉が頭をよぎった。






楓…
楓…!!









「こら!
なに騒いで…………っ!!
おい、誰か救急車呼んでくれ!!」

近くの教室からでてきた先生が
俺たちをみて青い顔でそう叫んだ。
「君!このこの名前は?!」
「佐伯……、佐伯 楓です」
「佐伯!
もうすぐ救急車くるからな!」




こわい。怖い。


このまま楓が消えちゃうきがして、
楓がどこかにいっちゃうきがして、
楓がいなくなってしまいそうで……




――――――――楓













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