君が知らなければいけない事実
君は


俯いた表情に
気づかないフリをして過ごす。

声は届いていない。
そんなの、とっくに分かっている。



何を考えているのか
分からないし分かりたくもなくて


僕も気づかないフリをした。

だって君は
僕のそばに居なくてはいけないし

そうしなければいけない運命だからだ。


なぜか、その理由は……今は

言ってはいけない。




君にはまず謝らなければいけないんだ。

気持ちが離れているのに
一緒に居たいのは。

声が届かないのに
一緒に居るのは。



それは、君を閉じ込めたいから。



ごめんね。

でも君は自分を責める人だから
そのうち、空気は重たくなって
君を責めるように感じるだろう。

だから、僕は何も言わない。

君が、望んで気づかないフリを
しているなら。

僕も気づかないフリをする。

君も、僕もそれでいい。



君は、いつかその事実を
知らなければならない。



< 1 / 56 >

この作品をシェア

pagetop