君が知らなければいけない事実

ひどく



食べ終わった後も僕は
あのベンチに座っていた。

独りで、ずっと呆けていた。


また、風邪を
こじらせてしまうことも考えずに。


雲の流れを思うと
この季節はとても悲しい季節だ
と思った。


雪が降る雲、厚く覆われた空。

ひどく、冷たい空気。


天気が良くても、寒すぎる。



次第に声は枯れて
空に吸い込まれていった。

どのくらいそこにいただろうか。


僕はふらりと立ち上がり
家に戻る。

あの場所にいたのは数十分。


少し狭い空間で
僕は何を得たのだろう。




< 14 / 56 >

この作品をシェア

pagetop