君が知らなければいけない事実
《起きてる?》
また声が聴こえた。
でも今度は、夢の中ではなく
リアルに。
もしかしたらと思い
僕は小さく息を吐いた。
眠たい目を
擦りたい気分だったが
寝たフリをすることにしたので
それはできない。
変わりに、リズムを
崩さないように小さく
ゆっくり呼吸する。
あたかも、眠っているかのように。
意識ははっきりしてくる。
また、あの匂い。
あの冷たさ。
僕の中に入ってくる
冷たい何かはあのときと同じ
薬だろうか。
苦味のある水。
飲み干した僕は
そっと目を開ける。
君が、居た。