君が知らなければいけない事実
甘かった
目を先に開けていたのは
僕の方らしく彼女は
僕の顔を見て酷く驚いていた。
そして、その冷たい唇を動かす。
「……起きて、いたの」
夢で聴いたあの声と、似て。
でも、僕には心当たりがない。
「誰ですか……?」
逃げるように僕の
部屋から出て行こうとしたが
僕は君の手を、捕らえていた。
その手はひどく柔らかくて
細くて、そう言えば僕は
女の子の手をこんなに意識して
握ったことがなかったなと。
ふとそんなことを思った。