君が知らなければいけない事実
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「伊宇、君のおかげかな」
随分と懐かしい夢を見たよ。
あまり見たくない夢だった。
……そんなこと
言うわけないだろう。
看病をしてくれた相手に。
「風邪良くなりましたか」
「あぁ……ありがとうな」
「あの、昨日はすいませんでした」
「……あぁ、大丈夫だ」
口移しで飲ませたことにだろう。
僕は、気にしなくていいと言った。
いつもの僕で居られるのであれば
そんなことは
大したことではなかった。
そのときはそう
思った