君が知らなければいけない事実

腋に挟んでからしばらく
電子音が僕の熱を告げる。


君への熱かな、


そんな馬鹿らしいことを考えた。



「はい」


「……下がった、ようですね」


嬉嬉とした表情とはうらはらに
、どことなく残念そうな声に
僕は少しだけ、胸を抑えた。

不整脈だ。


君と接していると、
度々心臓が早くなるよ伊宇。


俯き体温計を見る、丸い頭。

僕よりも低い背。


独りよがりな考えは、
いつか人を苦しめるんだ。
そんなことは分かっているのに
何故だろうね……。


近づいたら君は、きっと僕を
受け入れるような、そんな気がした。



僕は







君のことが


< 31 / 56 >

この作品をシェア

pagetop