君が知らなければいけない事実
今夜は月が出ているのだろうか。
薄く漏れた光の筋のおかげで見える、
小さく浮遊している埃を、
ボヤっと見ていたら部屋の
入室許可を求める
ノックがコツコツと鳴った。
「何」
無愛想な声が壁に吸収される。
「部屋、入ってもいいですか?」
「……どうぞ」
今度は一体なんだろう、
そんなことを考えて居ると
君はいかにも眠たそうに
目をこすりながら
僕の部屋へと入ってきた。
「お水いかがですか」
「……よく、俺が起きたの分かったね」
「え?」
「へ?」
間抜けな声が二人の口から漏れる。