君が知らなければいけない事実



「四人家族だったの?」


「はい」


「そっか。いいよ、
伊宇のペースで続けて」


「まぁまぁ仲の良い家族でした。
しかし、父があんなに
可愛がっていた妹は、
不慮の事故であっけなく
死にました」



「母は泣きました。

父は狂ったように泣きました。

私は部屋で一人泣きました。

お葬式は内輪だけでやりました。
母がそう頼んで
きかなかったのです」



ふぅ、と息を吐いて
少し水を含み話す。

< 49 / 56 >

この作品をシェア

pagetop