君が知らなければいけない事実



段々と、恐怖が僕を
縛り付けるようになっていく。

やがて僕の息の根は止まる。

それなのに、不意にあの匂いが
鼻腔をかすめる。

一瞬、落ち着くが怖くなる。




 僕は、これをコワシテシマウ。




どうしたらと思い、考えたが
叫び、気づかせることしか
出来ないのだと気づいた瞬間に
夢は覚めた。


 あの匂いは、僕のすぐ目の前に。


再び閉ざされた目蓋の裏に
僕は君の顔を見た。


声が、聴こえた。


 「………」


何度も何度も、繰り返す
単調な言葉。

聞こえた言葉は


 「すき」


 「好き」



口の中に流れ込んだ
冷たい水と少し苦い薬の味は

君の甘い何かで緩和されて
僕の中にゆっくりと、浸透していく。

 
 
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