君に出会った奇跡
そして今。わたしは扉をあける。







「闇猫、霧猫、ここに参上。主の命令を持ってここに「炎龍の死」を迎え入れよう」





わたしは大人数の炎龍に蹴りかかろうとした。





けど、できなかった。




不意討。でも、温かい不意打ちだった。




後ろから、誰かに抱きしめられている。瑠維は太陽と戦っていて、わたしを助けれそうにもない。




終わったのだ。一瞬の油断。それが、終わりの合図なのだ。




倉庫の窓から長身銃が覗いている。まだ死に追いやってはいない。でも、命令が守れなかった時点でわたしたちは、撃たれてみんな死んでしまうのだ。




でも、男の子の力に、さすがに勝てなかった。




そして、わたしの耳元で、そっと、優しく、シャンプーのにおいを漂わせて囁く。




「彩へ、一生の愛を誓おう。」


「好きだ、好きだ、好きだ。そして、愛してる。」










さっきまで決まっていた決意が、もろく崩れさる。







わたしはこの人を、殺すことなんてできない。





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