君に出会った奇跡
渉ちゃんが呼んでいる。



渉ちゃんの所に言ったら、渉ちゃんは喜んでくれるだろう。




でも本当に呼んでいるのかは分からない。




だって、ノイズでしか聞こえないから。



でも、これは渉ちゃんだ。





直感でわかる。




わたしは必死に渉ちゃんの声がする方へと手を伸ばした。





「だめ!」




ノイズだった声がはっきりとした意味をもったものに聞こえる。





何で?







「彩は来ちゃだめだよ。瑠維君も、綺羅君も、太陽君も、彩のこと待ってるよ!」





「じゃあ、渉ちゃんは?!」





「わたしは七十年くらい先で、待ってるからさ!」






そう言ってわたしの背中を優しく押してくれた。





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