ド天然娘としっかり幼馴染
「…俺は颯じゃない」
「そんなの分かってる」
「……お前天然なのか馬鹿なのか面倒な奴なのか分かんねぇ…」
龍夜は腕を組んで上を見上げた。
「あたしは天然」
「は?」
「…って、よく皆に言われる」
「そういえばそうだな…」
あたしと龍夜が話してたら教室に颯が入って来た。
颯はあたしの隣の席。
だけど今はその颯の席に龍夜が座ってる。
「おっス、颯」
「おっス…あのさ、どいてくんない?座れない…」
颯が迷惑そうにそう言った。
「お~、悪い悪い」
龍夜はそう言いながら颯の席からどき、あたしの前の席に座った。
ここが本当の龍夜の席。
「瑠李…?」
颯があたしの様子を伺うようにおそるおそる尋ねてきた。
だけど颯を疲れさせちゃいけないからあたしは何も反応しない。
本当は颯と喋りたい。
たくさん話したい。
だけど颯はあたしと喋ると『疲れる』って言った。
だから颯の為にもあたしは颯と喋らないようにしなくちゃいけない。